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交通事故に関する用語集 さ行

さ行の用語

サーモグラフィー検査 [さーもぐらふぃけんさ]

サーモグラフィーとは、人間の体から放射される赤外線の放射量を検知・測定して、体表面の皮膚の温度分布を画像にして可視化する装置です。身体の体温が正常な部分は暖色系(赤色)に映りますが、体温が低い部分は寒色系(青色)に映るため、医療では、人間の体の皮膚温を知るための検査に用います。

交通事故によるケガが原因で末梢神経系に後遺症が残った場合には、その障害が血流を悪くさせ(血行障害)、皮膚温が低下していることがあります。また、炎症により痛みが生じているときには、皮膚温が上昇していることもあります。

このように、サーモグラフィー検査は、温度の変化から疾患の障害領域を推定することができる便利な検査です。しかし、この検査結果のみで、神経障害などの後遺障害の残存を医学的に証明することはできませんので、あくまでも、後遺障害の等級認定を獲得するための判断材料のひとつにすぎない点に注意しましょう。

自覚症状[じかくしょうじょう]

患者自身が感じている痛みなどの症状のことをいいます。これに対して、患者以外の他人が客観的にとらえることができる症状を「他覚症状」といいます。

自覚症状があるというだけでは、後遺障害の等級認定はなされないことが多いのですが、受傷当初から症状の訴えに一貫性があることを理由のひとつとして実際に後遺障害14級9号が認められた事例もあります。

後遺障害の中には、レントゲンに映らず他覚症状が認められない場合もあり、そのような場合には、一貫した自覚症状が診断書に記録されていること等が後遺障害認定の決め手となります。後遺障害診断書を作成してもらう際には、主治医に自覚症状をしっかりと訴えるようにしてください。

時効[じこう]

かいつまんで述べると、(1)加害者に対する損害賠償請求権は、事故の日から5年(後遺障害については症状固定日から5年)経つと、請求できなくなります。
※改正民法施行前の令和2年3月31日までに発生した事故については、施行日である令和2年4月1日時点で消滅時効が完成していない交通事故以外は、損害賠償請求権の傷害部分および後遺障害部分の時効は3年となります。
(2)自賠責保険会社に対する被害者請求権は、事故の日から3年(後遺障害のある場合については症状固定日から3年)経つと、請求できなくなります。
なお、(3)被害者が任意保険会社に対して直接支払いを請求する権利は、加害者に対する損害賠償請求権が消滅した場合は、請求できなくなると約款で定められていることが一般的です。

当事務所でも、ご相談に来られるのがあまりに遅かったために損害賠償請求権が時効消滅してしまい、お手伝いが出来ないという相談者の方がおられ、大変申し訳なく思っておりますので、交通事故でお悩みのことがある方は、先送りにせず早めにご相談下さい。

なお、平成22年4月1日、「保険法」及び「自動車損害賠償保障法」改正法が施行されており、それより以前の交通事故についての自賠責保険の被害者請求の時効は、2年となります。

歯科補綴[しかほてつ]

歯科補綴とは、交通事故などにより失われてしまった歯や関連組織を人口の歯で補い、見た目(審美性)や、食べ物の咀嚼やかみ合わせなどの機能を回復させる治療法をいいます。そして、これらの治療は、クラウン、入れ歯、インプラント、ブリッジなどが行われます。

歯を欠損するなどの障害を負った場合には、歯科補綴による治療を行った歯の本数に応じて後遺障害の等級認定の対象となります。歯科補綴が14本以上の歯に対して行われた場合は第10級4号、10本以上であれば第11級4号、7本以上で第12級3号、5本以上で第13級5号、3本以上で第14級2号という等級認定がされます。

四肢麻痺[ししまひ]

四肢とは、人の両手両足のことをさし、これらに運動麻痺や感覚麻痺などの症状が残ることを四肢麻痺と呼びます。四肢麻痺は、交通事故などにより脊髄を損傷することによって生じます。

四肢麻痺の症状としては、運動機能や感覚機能、自律神経や排泄機能などさまざまな機能の障害が生じます。四肢麻痺は後遺障害に該当し、その麻痺の範囲や程度、介護の必要性によって等級が認定されます。

四肢に高度の麻痺が残った場合には介護第1級1号(別表第一)の後遺障害が認められます。また、四肢に中等度の麻痺が残った場合で、食事・入浴・用便・更衣などについて常時介護が必要な場合には介護1級1号(別表第一)、随時の介護が必要な場合には介護第2級1号(別表第一)が認められることになります。四肢の麻痺が軽度である場合には第3級3号が認められることとなります。

事前認定[じぜんにんてい]

事前認定とは、後遺障害の等級認定申請について加害者側の保険会社を通じて行うもので、一括請求の手続をとる場合に使われます。

具体的な手続の流れとしては、任意保険会社が後遺障害等級認定の申請を自賠責調査事務所に申請し、自賠責調査事務所がその結果を任意保険会社に通知し、任意保険会社がその結果を被害者の方に伝える、という流れとなります。

事前認定の場合、被害者の方が後遺障害診断書を保険会社に提出すれば、あとは保険会社がその後の手続をすべて行います。そのため、被害者の方の手続の負担は軽くなり、一般的に後から説明をする被害者請求よりも早く手続きが進みます。一方で、保険会社を通じて行うため、適切な資料が提出されないなどの不利益が生じる可能性があります。

このような不利益を受けないようにするためには、被害者の方が任意保険会社を通さずに自賠責保険会社を通じて後遺障害の認定を申請する方法(「被害者請求」)があります。

まずは、ご自身の残存症状が後遺障害に認定される可能性があるのか、弁護士に相談しておくとよいでしょう。

自損事故[じそんじこ]

たとえば、自動車を運転中にハンドル操作を誤り、電柱に衝突しケガをしてしまった場合(相手のない事故)や、居眠り運転でセンターラインをオーバーして相手方車両と正面衝突をして重傷を負った場合(相手はいるものの運転者に100%の過失がある事故)などを自損事故と呼びます。

自損事故の場合、運転者本人のケガや死亡については、自賠責保険任意保険の対人賠償保険からは保険金が支払われません(ただし、同乗者についてはその自動車に付いている各保険から補償が受けられる場合があります)。

このような場合に、最低限度の補償をしてくれるのが「自損事故保険」です。この保険は任意保険に自動で付帯されているものですが、人身傷害保険に加入している場合は補償内容が重複してしまうことから、付帯されないこともあります。

一般的に、自損事故保険の補償限度額は、入通院費は1日に数千円、死亡保険金は1,500万円、後遺障害については認定等級に応じて50万円(14級)~1,500万円(1級)となっています。

示談[じだん]

一般的に、裁判によらずに当事者間で紛争を解決(合意)することをいいます。民法上では「和解」とも呼びます。特に、交通事故の被害に関する損害賠償では、相手方(加害者側の保険会社やその代理人弁護士など)との交渉により、賠償金の支払額などについて合意をすることをさします。また、示談によって取り決められた賠償金を示談金とも呼びます。

法的には、示談内容について相手方と合意に達していれば、口頭でも示談が成立しますが、示談書という書面を取り交わすことが一般的です。一度、示談をしてしまうと、その内容について相違があったとしても、合意を覆すのは困難ですので、示談をする前には法律の専門家である弁護士に示談内容をチェックしてもらうことをおすすめします。

示談書[じだんしょ]

示談の際に、作成される和解書や合意書のことを示談書と呼ぶ場合があります。交通事故の被害に伴う損害賠償では、保険会社から示談金額が記載された示談書(3枚つづりの複写式が一般的)送付してきます。被害者の方は、この示談書の内容に納得をすれば、署名・捺印をして返送し、後日、示談書に記載された金額の示談金が振り込まれるという流れになっています。

この示談書は、保険会社が内容を定型化して、被害者が署名・捺印すればよい形式にしていますので、被害者の方が合意した内容以上に加害者側には損害賠償を請求しない(=それを超える加害者側の責任を免除する)という意味で、免責証書と呼ぶこともあります。

示談屋(事件屋)[じだんや(じけんや)]

正当な資格もないのに他人の交通事故の相談を受けたり、示談交渉を行ったりして不当な報酬を得ようとする者のことです。事件屋とも言います。実は、弁護士でない者(金額が140万円に満たない場合は例外的に司法書士を含む)が、報酬を得る目的で法律業務を取り扱うことは法律によって禁止されており、犯罪として処罰されます(非弁行為)。

「弁護士ではないけれど交通事故の手続きに詳しい」とか「自分は交渉ごとには慣れている」と言う人がいたら気をつけてください。不当に高い報酬を請求されたり、保険会社から支払われた賠償金を横領されてしまった等の悪質なトラブルが数多く報道されています。交通事故の相談や示談交渉は弁護士に依頼しましょう。

実況見分(調書)[じっきょうけんぶん(ちょうしょ)]

警察官が、事故現場の状況を調べて記載した書類のことです。

例えば、加害者の、どこでブレーキを掛けたのか・被害者とどこで衝突したのかといったような指示説明に従い、衝突した地点とブレーキを掛けた地点との距離を計測して記載したり、あるいは現場の写真を添付して、走行車両から道路をどのように見通せるのかを記載したりしています。

実況見分には、可能な限り、自ら立会いを行うことをお勧めします。なぜならば、実況見分調書は、過失割合が争いになるなど、事故がどのような態様であったのかを明らかにしなければならないときに、重要な証拠となるからです。
ですから、立会いの際には、事故当時の状況をよく思い出して、加害者に一方的に有利な内容が記載されてしまわないように、気を付けてください。

膝蓋腱反射テスト(PTR)[しつがいけんはんしゃてすと(ぴーてぃーあーる)]

腰椎捻挫などで中枢神経の障害が疑われる場合に実施されることがあります。検者(医師・理学療法士)は患者を座らせて、膝を検査器具(ゴムハンマーなど)で叩いて反応を確認します。反射が強い場合は脊髄や大脳に障害が疑われて、反射が弱い、もしくはない場合は、神経根など、末梢神経に障害が疑われます。

膝動揺性検査[しつどうようせいけんさ]

膝の靱帯断裂などで、膝の不安定性が疑われる場合に実施されることがある検査です。脛骨を前方に引き出し、徒手または器具で圧力をかけてレントゲン撮影を行います。断裂がある場合、脛骨が前方に引き出されて写り、膝関節のずれ方によって、膝の不安定性を評価します。

自賠責保険[じばいせきほけん]

交通事故の被害者の方へ最低限の救済を担保するために、加害者に加入が義務付けられる公的保険をいいます。交通事故証明書に保険会社の名前が書いてありますが、これは自賠責保険の会社名です。自賠責保険への加入は法律で強制されており、自賠責保険に加入しないで自動車を運転することは違法となります。自賠責保険は、最低限の対人賠償を確保するためのものであり、対物賠償は含まれていません。そして、その支払には限度額が定められています。

たとえば、

  1. 死亡事故の場合
    • 死亡による損害は3,000万円
    • 死亡に至るまでの傷害による損害は120万円
  2. 傷害事故の場合
    • 傷害による損害は120万円
    • 後遺障害による損害は、後遺障害の等級に応じて、介護を要する場合は3,000~4,000万円、そのほかの場合は75~3,000万円の限度額が定められています。

多くの場合、加害者側の任意保険会社が自賠責分も含めて支払い、後から自賠責保険会社に請求するという一括対応を行いますので、自賠責保険会社が被害者の方との交渉の場に出てくることはありません。

任意保険会社は自賠責保険会社から支払われることを前提に被害者の方に保険金を支払っていますので、治療費などの支払が自賠責の支払限度額を超えそうになると(たとえば、頸椎捻挫などの場合で治療費と休業損害が合計120万円を超えそうな場合)治療費や休業損害の打ち切りを打診してきます。自賠責保険の限度額を超えた分の支払は、任意保険会社が自腹で支払うことになるからです。

視力検査[しりょくけんさ]

頸椎捻挫(むち打ち)や頭部外傷、眼球の外傷などで、視力低下が疑われる場合に万国式試視力表を用いて実施されることがある検査です。被検者は、視力測定法ごとに定められた、一定の距離から指標を確認して判別し、口頭(あるいは指で指し示す)で応答します。事故以前と比べて視力が急激に低下している場合は、眼球自体の損傷や視神経損傷が疑われます。

視野検査[しやけんさ]

頸椎捻挫(むち打ち)や頭部外傷、眼球の外傷などで、視野障害(視野狭窄)が疑われる場合にゴールドマン視野計(視野測定装置)を使用して実施されることがある検査です。視野障害(視野狭窄)が生じた場合は、眼球自体の損傷もしくは視神経損傷が疑われます。

ジャクソンテスト[じゃくそんてすと]

ジャクソンテストとは、患者の頭や肩、腕などに対し、検査者の手による圧迫、または牽引などの刺激を与え、その刺激に対し、痛みやしびれなどの症状があるかどうかを調べ、神経障害の有無を検査する神経学的検査方法です。

頸椎捻挫(むち打ち)などで、神経根障害が疑われる場合に実施されることがあり、患者は、腰掛け座位となって前頭部に両手を置き、検者(医師や理学療法士)がその後方から、検査を受ける方の頸椎をやや伸ばして頸椎を後ろ側に倒した状態で圧迫します。症状をヒアリングしながら行われ、圧迫した際に、痛みやしびれが出た場合は、神経の障害が疑われます。

なお、類似する神経障害を調べるテストとして、スパーリングテストがあります。具体的な検査方法は、患者を座らせ、頸椎を後ろ側に倒し、頭頂部を圧迫した状態で、痛みやしびれなどの症状がでるかどうかを調べます。この検査結果だけで後遺障害の等級認定がされるわけではありませんが、認定を判断するひとつの根拠資料として扱われます。

車両保険[しゃりょうほけん]

自分の自動車が交通事故で損壊を受けた場合に、その修理代を補償してくれる保険のことです。交通事故に限定されず、火災、台風、盗難等により偶然の損害を受けたときにも支払われます。

一般的に、自動車保険(任意保険)というと、対人賠償保険や対物賠償保険が思い浮かびますが、これらの保険はすべて「他人の」損害を補償するためにかけておく保険です。ですから、これらの保険に加入していても、自分の車の損害は補償されません。自分の車の損害を補償してもらうためには、車両保険に加入する必要があります。

ただし、車両保険は補償金額に比べて保険料が割高になる傾向があり、保険を使うと等級が下がる場合もありますので、加入には保険会社と十分に相談することをお勧めします。

自由診療[じゆうしんりょう]

保険を使った診療ではない医療という意味で、治療費の全額を自己負担する必要があります。「自由」という名前からもわかる通り、医療機関は治療費を裁量で決定することができますので、治療費は健康保険等を使用した場合の数倍になることがあります(自由診療の診療報酬の点数単価は1点10円~30円程度です)。

これに対して、健康保険等を使用して診療を受ける保険診療の場合、窓口で治療費の3割を自己負担分として支払う必要がありますが、残りの7割は健康保険等が医療機関に対して支払いをしてくれます。ちなみに、保険診療の場合の診療報酬の点数単価は1点10円で計算されます。

交通事故の被害に遭われた方から「健康保険が使えない(自由診療の扱いとなる)と病院に言われたのですが…」という問い合わせを多くいただきますが、この説明はまったくの誤りです。交通事故でも、健康保険を使うことができます。詳しくは健康保険をご覧ください。

就労可能年数[しゅうろうかのうねんすう]

交通事故により被害者の方が亡くなってしまった場合、もし生存していれば、働いて得ることができたであろう利益を得られないという点で、逸失利益と呼ばれる損害が発生することになります。

逸失利益の算定には、もし交通事故がなかったら被害者の方があとどのくらいの期間働くことができたか、どの程度の収入を得ることができたかを考える必要があり、その基礎となる数字が就労可能年数です。

交通事故の実務では、一般的に67歳まで就労可能と考えられるので、原則として、死亡時から67歳までが就労可能年数となります。もっとも、このような考え方を取っても、実際に67歳を超えて仕事をして収入を得ている人もいます。この点を考慮して、67歳を超える年齢の被害者の方については、この原則を修正して、平均余命の2分の1を、就労可能年数とするのが実務の考え方です。

なお、被害者の方が若年で未就労者である場合は、就労開始の年齢を18歳として計算し、大学生の場合は大学卒業予定時を開始時として67歳までの年数が就労可能年数となります。

純音聴力検査[じゅんおんちょうりょくけんさ]

頸椎捻挫(むち打ち)や頭部外傷、耳の外傷などで、聴力障害(難聴)が疑われる場合にオージオメーター(聴力測定装置)を使用して実施されることがある検査です。検査は3回以上行われ、検査の間隔は7日間程度開けて、2回目と3回目の純音聴力レベルの平均で聴力障害(難聴)の程度を判断します。急激な聴力障害(難聴)が生じた場合は、耳自体の損傷もしくは聴覚神経損傷が疑われます。

消炎鎮痛処置[しょうえんちんつうしょち]

交通事故によるケガの治療のために通院したとき、病院から出されるレセプト(診療報酬明細書)に「消炎鎮痛処置」と記載されることがあります。消炎鎮痛処置とは、炎症症状や痛みを抑えるための処置をいいます。マッサージや指圧などの手技による療法、赤外線治療やホットパック、電気療法などの器具による療法、湿布処置などがあります。

上肢[じょうし]

「上肢」とは肩関節・肘関節・手関節(手首)の3つの関節と手指を含めた部分のことを指します。後遺障害の等級認定においては、肩関節、肘関節、手関節の3つを特に「上肢3大関節」と呼びます。手関節から先の手の指部分については、「手指」として上肢とは別の等級認定基準が用意されています。

上肢の全部や一部が失われてしまった場合には「上肢欠損障害」、動かなくなってしまうなどの障害が生じた場合には、「上肢機能障害」として後遺障害が認められることになります。

上肢可動域検査[じょうしかどういきけんさ]

手の骨折などで、三大関節(肩、肘、手首)や手の指の可動域制限が疑われる場合に実施されることがある検査です。肩は屈曲、外転・内転、肘と手首は屈曲・伸展、手指は屈曲・伸展、橈外転・掌外転を日本整形外科学会によって決定された関節可動域表示ならびに測定法にしたがって測定します。可動域が正常値に比べて一定以上制限されていれば、運動機能障害が疑われます。

使用者責任 [しようしゃせきにん]

「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」という制度です。

例えば、ピザ屋のアルバイトが、バイクでピザを配達中に交通事故を起こしたという場合、ピザ屋は、事故で生じた損害を賠償する責任を負います。

もっとも、加害者に対して、運行供用者としての責任を追及できる場合であれば、使用者責任を問題にする意義は小さくなります(物損等)が、そうでない場合はお金がなくて賠償金を払えない運転者だけでなく、ある程度経済力のある雇主などから賠償を受ける道が開けることになりますので、この点の確認は重要です。

症状固定[しょうじょうこてい]

交通事故によるケガの治療を続けていった結果、ある時期を境に、リハビリ治療に通うと一時的に良くなったように感じるが、すこしするとまた同じような痛みや支障が出てしまうという、いわば一進一退の状況になることがあります。このように、それ以上の治療を続けても治療の効果が望めない状態をさして症状固定といいます。

症状固定が上記のような状態だとすると、症状固定日の後、被害者の方にかかった治療費は、身体をもとどおりにするために必要なものではなくなるので、症状固定までに請求ができていた治療費や通院交通費が請求できなくなります。そして、働けないことを前提とする休業損害は請求できなくなり、その反面、働くことを前提に、それに対してどの程度影響があるか、そしてその期間はどの程度続くのかをお金に換算した逸失利益が、後遺障害の等級が認定されれば請求できることになります。さらに、入通院慰謝料も症状固定日から後は発生しなくなり、その反面、後遺障害慰謝料というものが、後遺障害の等級が認定されれば請求できることになります。

以上のとおり、症状固定によって少なくともそれまでの損害賠償請求の具体的金額を算定することができます。そして、後遺障害の等級認定の申請ができることになりますので、その結果を待って後遺障害部分(後遺障害慰謝料や逸失利益)についても具体的な示談金額の提示が可能となります。

つまり、症状固定とは示談交渉のスタートラインを意味しています。この段階で示談の進め方、妥当な示談金額の目安などは把握しておかないと、場合によっては非常に損をしてしまうことになります。症状固定となった方は、一度、弁護士への相談をおすすめします。

上腕三頭筋腱反射テスト(TTR)[じょうわんさんとうきんけんはんしゃてすと(てぃーてぃーあーる)]

頸椎捻挫(むち打ち)などで、脊髄や末梢神経の障害が疑われる場合に実施されることがあります。検者(医師・理学療法士)は片方の手で患者の腕を支えながら、肩関節を外側に開いて患者の上腕三頭筋の腱を検査器具(ゴムハンマーなど)で叩き、反応を確認します。反射が強い場合は、脊髄や大脳に障害が疑われ、反射が弱い、もしくは、反射がない場合は、神経根など、末梢神経に異常があると疑われます。

上腕二頭筋腱反射テスト(BTR)[じょうわんにとうきんけんはんしゃてすと(びーてぃーあーる)]

頸椎捻挫(むち打ち)などで、脊髄や末梢神経の障害が疑われる場合に実施されることがあります。検者(医師や理学療法士)は、片方の手で患者の肘を圧迫し、上腕二頭筋付近を検査器具(ゴムハンマーなど)で叩いて反応を確認します。反射が強い場合は、脊髄や大脳に障害が疑われ、反射が弱い、もしくは、反射がない場合は、神経根など、末梢神経の異常が疑われます。

神経症状[しんけいしょうじょう]

一般的には、めまい、動悸、ふるえ、しびれ、手足が重いなどの神経系の障害のことをさしますが、交通事故ではむち打ち症により起こる痛み、しびれといった症状のことを神経症状と呼び、むち打ち症について第12級13号、あるいは第14級9号該当の判断要素のひとつとなります。

ちなみに、第12級13号は障害の存在が医学的に証明できる場合に認定され、第14級9号は障害の存在が医学的に説明可能な場合に認定されるとされています。いずれにせよ、他覚症状が認められることが前提で、痛みやしびれの原因となる障害がMRIなどの画像や神経学的検査により裏付けられていると等級が認められやすくなります。

深部腱反射[しんぶけんはんしゃ]

頸椎捻挫(むち打ち)や腰椎捻挫などで、脊髄もしくは末梢神経の障害が疑われる場合に実施されることがあります。検者(医師・理学療法士)は、患者の上腕二頭筋の付近やアキレス腱を検査器具(ゴムハンマーなど)で叩いて反応を確認します。脊髄や大脳に障害がある場合は反応が強く、神経根の異常など末梢神経に異常がある場合は、反応が弱くなる、もしくは反応がありません。

診療報酬明細書[しんりょうほうしゅうめいさいしょ]

治療費の明細のことで、レセプトとも呼ばれます。診療報酬明細書には、診療の種類、内容、点数、金額、通院日などが記載されています。

これを見ることで、病院でどのような治療が行われたのか、治療費が全部でいくらになっているのか、入通院の日数がどの程度で、休業損害をどの程度請求することが可能なのかなど、被害者の方が賠償金を請求するうえで必要な情報がわかります。

さらに、病院での診療が自由診療なのか、健康保険の適用を受けているのかなどの周辺情報も把握することができます。特に、治療費を自分で立て替え払いしているときは、診療報酬明細書を捨てずにしっかりと保管してください。また、弁護士に相談・依頼した際にお持ちになると、手続がスムーズになります。

診療録[しんりょうろく]

患者の情報や診療の経過を記録したもので、一般的に「カルテ」と呼ばれているものです。法律上は、医師は患者を診療した場合に必ず診療録をつけなければならないこと(医師法第24条1項)、診療録は5年間の保管義務があること(同条2項)などが定められています。

最近では、医療情報の管理体制の強化やデータベース化・ネットワーク化の促進のため、「電子カルテ」の導入が進められています。交通事故によるケガの場合、初診時の受傷内容、診察・診断内容、診療経過、処方薬や施術の指示内容などが診療録に記載されるのが一般的です。そのため、診療録の開示を求めることにより、診断書や診療報酬明細書(レセプト)に記載された傷病名、残存している症状、治療の詳細などについて確認することができ、後遺障害の認定等級に対する異議申立の立証資料などとして使うことができます。

CRPS[しーあーるぴーえす]

CRPSとは、Complex Regional Pain Syndrome の略称であり、日本語では複合性局所疼痛症候群と呼ばれます。CRPSは、神経損傷を伴わない「RSD」と神経損傷を伴う「カウザルギー」に分類されます。これらはいずれも神経因性疼痛を生じさせるもので、症状としては、以下の症状が特徴として挙げられます。

  • 激しい灼熱痛や疼痛
  • 腫脹(炎症などが原因で体が腫れあがること)
  • 関節拘縮(骨の萎縮やこわばり)
  • 皮膚の変化(皮膚色の変化、皮膚温の低下、乾燥など)

RSDなどのCRPSは診断が難しく、そもそも医師によってRSDと診断されないことがあります。上記のような症状が現れた場合には、早めに専門医に受診することが必要です。

ズデック骨萎縮[ずでっくこついしゅく]

軽微な外傷後に、主に手足に発生する痛みと腫れを伴った骨萎縮のことをいいます。交通事故により、骨折などの受傷したことを引き金にして発症することがあります。受傷箇所の腫れが続くだけではなく、その周りも腫れたり(浮腫)、後々に関節が動かなくなってしまったり(関節拘縮)、疼痛などの痛みが発生するといった症状が現れます。そのため、疼痛性感覚異常として、CRPSRSDの傷病名として診断されることもあります。

検査方法としては、レントゲン撮影によって判断されます。正常な骨は白く写りますが、カルシウムの抜けた骨萎縮の状態では、骨に斑点状の黒い部分があり黒っぽく写ります。

ストレートネック[すとれーとねっく]

人間の首は本来、一定の角度で曲がっている状態が正常です。これに対し、首がまっすぐに歪んだ状態をストレートネックと呼び、これが原因で、慢性的な首の痛みや頭痛、肩こりなどを引き起こすことがあります。医学用語では「生理的前湾消失」と呼ばれます。

正常な人の首の前湾角度は30度~40度であるのに対し、ストレートネックとされる人の前湾角度は30度以下の状態です。ストレートネックは、長時間のパソコン作業などうつむいた姿勢を慢性的に続けることなどが原因で引き起こされることが多いですが、交通事故の衝撃によって生じることもあります。

スパーリングテスト[すぱーりんぐてすと]

スパーリングテストとは、患者の頭や肩、腕などに対し、検査者の手による圧迫または牽引などの刺激を与え、その刺激に対し、痛みやしびれなどの症状があるかどうかを調べ、神経障害の有無を検査する神経学的検査方法です。

頸椎捻挫(むち打ち)などで、神経根障害が疑われる場合に実施されることがあり、患者を腰掛け座位にさせて、検者(医師や理学療法士)がその後方から検査を受ける方の頸椎をやや伸ばし、その後、頭を右後ろ、左後ろに傾け、側頭部に片手を置いた状態で頸椎を圧迫します。症状をヒアリングしながら行われ、圧迫した際に、痛みやしびれが出る場合は、神経の障害が疑われます。

なお、類似する神経障害を調べるテストとして、ジャクソンテストがあります。具体的な検査方法は、患者を座らせ、頭を右後ろ側や左後ろ側に倒し、頭頂部を圧迫した状態で、痛みやしびれなどの症状がでるかどうかを調べます。この検査結果だけで後遺障害が認定されるわけではありませんが、後遺障害認定を判断するひとつの資料とされます。

生活費控除率[せいかつひこうじょりつ]

交通事故により被害者の方が亡くなってしまった場合、本来得られるはずの利益が得られない「逸失利益」という損害が発生します。この逸失利益の損害額を算定するにあたって、被害者の方が生きていた場合に支出していたはずの生活費がかからなくなるという考え方から(このほかにも、生活費は収入を得るための経費であるとして控除するという考え方もあります)生活費相当額を損害から控除する形で計算することになります。

支出を免れた生活費の金額を実際に把握することは困難ですから、実務上は生活費控除の計算について被害者の方の所得、生活状況、扶養される方の有無・人数などを考慮して、下記の表のように一応の基準が設けられています。これに基づいて逸失利益が計算されることになります。

※生活費控除率表(赤い本基準による)
区分 生活費控除率
一家の支柱
(男女問わず実質上、生計の中心となる人)
被扶養者1人 40%
被扶養者2人以上 30%
女子(主婦・独身・幼児等を含む) 30%
男子(独身・幼児等を含む) 50%

成年後見制度[せいねんこうけんせいど]

交通事故により重度の高次脳機能障害や遷延性意識障害などの後遺障害を負ってしまうと、加害者や保険会社に損害賠償請求をしようとする「意思」や判断をする能力が失われてしまっているため自身で請求を行うことができません。

そこで、被害者に代わって損害賠償請求の手続を進めていく方を選任する必要があります。この場合に、法律上の行為を被害者に代理して行う権限を有する人を家庭裁判所が選任することを成年後見制度といい、選任された人を成年後見人と呼びます(成年後見人の選任は、家庭裁判所への申立を行う必要があります)。

成年後見人は、損害賠償請求に限らず、日常生活における契約行為など被害者の代理人としてあらゆる場面で活躍することになりますので、早期に選任しておく必要があるといえます。

当事務所では、成年後見人の選任申立も含めてフルサポートしております。交通事故案件をご依頼いただく方につきましては、選任手続に際して特別な費用はいただいておりません。どうぞ安心してご相談ください。

政府保障事業[せいふほしょうじぎょう]

ひき逃げ事故により加害車両を特定できない場合や、自賠責保険に加入していない車両による事故の被害に遭った場合、または盗まれた車での事故で保有者に責任が問えない場合などは、交通事故の被害者の方は自賠責保険による保険金の支払を受けることができません。

このような場合に被害者の方を救済するために、政府が自賠責保険と同様の基準で損害のてん補を行う制度をいいます。政府保障事業に対する請求は、自賠責保険の請求とは異なり、請求できるのは被害者の方のみで加害者からは請求できません。また、政府が損害のてん補を行ったときは、その支払った金額を政府が加害者に請求することになります。/p>

生理的前湾消失[せいりてきぜんわんしょうしつ]

人間の首は本来、一定の角度で曲がっている状態が正常です。この曲がった状態が前湾であり、首がまっすぐに歪んだ状態を生理的前湾消失といいます。一般的には、このような状態を「ストレートネック」と呼びます。これが原因で、慢性的な首の痛みや頭痛、肩こりなどを引き起こすことがあります。

正常な人の首の前湾角度は30度~40度であるのに対し、生理的前湾消失とされる人の前湾角度は30度以下の状態です。生理的前湾消失は、長時間のパソコン作業などうつむいた姿勢を慢性的に続けることなどが原因で引き起こされることが多いですが、交通事故の衝撃によって生じることもあります。

脊髄造影検査[せきずいぞうえいけんさ]

脊髄造影検査とはミエログラフィーのことです。脊髄の神経は脊柱管と呼ばれる管の中に束ねられています。この管の硬膜の中を流れる脊髄液にレントゲンに写る造影剤を注入してその拡散具合を撮影することにより、脊柱管内の神経組織(脊髄や神経根)の圧迫状況や狭窄の位置、その程度を検査します。

この検査により、頸椎や腰椎の椎間板ヘルニアなどによる神経根や脊髄への圧迫を確認できますので、交通事故による外傷性の椎間板ヘルニアなどの傷害を負ったときなど、後遺障害の有無を調べるために行われることがあります。

脊髄損傷[せきずいそんしょう]

交通事故の衝撃などにより、脊髄に外力が加わった結果、脊髄の断裂などが生じて、体の全部や一部に麻痺が生じるという障害です。脊髄が損傷すると手足が動かなくなったり、感覚を感じなくなってしまうなどの麻痺症状が表れます。

交通事故による脊髄損傷は、その損傷の程度により、脊髄が横断的に離断して末梢神経への伝達機能が完全に断たれる「完全損傷」と、脊髄が過伸展・過屈曲によって損傷するも、一部の伝達機能が残存する「不完全損傷」(中心性脊髄損傷など)とがあります。

完全損傷の場合、脳からの命令が伝わらないため、四肢・体幹の運動機能が失われます。同時に、脳へ感覚情報も伝えることができなくなるため、感覚機能も失われます。また、運動機能や感覚機能だけではなく、自律神経系も同時に損傷するため、体温調節機能や代謝機能も困難となります。いわゆる、完全麻痺の状態です。

不完全損傷の場合、麻痺やしびれが生じ、筋力も低下し、運動機能に障害を生じます。上肢ならば巧緻運動障害(箸が上手に持てない、服のボタンが留めにくいなど)などが、下肢ならば歩行障害などの症状が現れます。また、各種の知覚障害の症状も併発することがあります。

脊髄損傷は、損傷の位置が頭に近いほど麻痺してしまう範囲が広くなり、障害が重度になります。一度、損傷した脊髄は修復されることはありません。したがって、脊髄損傷によって体の麻痺が残ってしまった場合には、後遺障害の認定申請を行います。

脊髄損傷の後遺障害の等級認定にあたっては、MRI画像やCT画像などの画像所見を中心に判断されることになります。そのため、早い段階から画像を撮影して症状を記録化していくことが重要です。そして、将来的に後遺障害等級認定を適切に行うために、認定に必要な検査(神経症状テストなど)を行っていくことが、適切な等級認定のためのポイントとなります。

遷延性意識障害[せんえんせいいしきしょうがい]

遷延性意識障害とは、いわゆる植物状態のことをさします。日本脳神経外科学会の定義によれば、(1)自力で移動できない、(2)自力で食べることができない、(3)大小便を失禁している、(4)目は動くが認識はできない、(5)簡単な命令には応じることもあるが、それ以上の意思の疎通ができない、(6)声は出すが意味のある発語はできないという状態であり、この状態が3ヵ月以上継続している状態のことをいいます。

遷延性意識障害は、交通事故の後遺障害の中でもきわめて重篤な後遺障害のひとつであり、被害者の方だけではなく、介護を行うご家族にも多大な苦痛や負担が伴うことになります。遷延性意識障害が認められる場合、一般的に「介護を要する後遺障害第1級」が認定されることになります。これにより、自賠責保険は4,000万円を上限として支払われることになります。また、逸失利益を計算する場合の労働能力喪失率は100%が認められることになります。

線状痕[せんじょうこん]

線状痕とは、線のようなキズ痕(あと)のことをいいます。交通事故により、顔などの外貌に人目につくほどの線状痕が残ってしまった場合には、後遺障害の認定対象となります。

顔面部に線状痕が残ってしまった場合、線状痕が長さ5センチメートル以上にわたる場合は「外貌に相当程度の醜状を残すもの」に該当し、認定等級は第9級16号となります。線状痕が長さ3センチメートル以上にわたる場合は「外貌に醜状を残すもの」に該当し、認定等級は第12級14号となります。

全損[ぜんそん]

一般的には、交通事故によって車両が壊れてしまい、物理的に修理が不可能となってしまった状態を指します。ただし、修理が可能であったとしても、修理費が壊れてしまった車両の事故直前の時価(+買替諸費用)以上にかかってしまう場合は、全損という言葉を使います。そのため、前者を「物理的全損」、後者を「経済的全損」と呼び分けています。

素因による減額[そいんによるげんがく]

もともと被害者の方が事故に遭う前から持っていた身体的・精神的な要因によって、損害が通常人よりも大きくなっていると考えられる場合には、賠償金が一定程度減額される場合があります。これを素因による減額(素因減額)と呼びます。たとえば、被害者の方に脊柱管狭窄症の既往症があった場合などです。

ただし、被害者に何らかの素因があったとしても、必ず賠償金が減額されるわけではありません。(1)身体的な要因については、疾患と呼べるほどの状態であった場合でなければなりませんので、頸椎の間が狭くなったり(頸椎間の狭小化)や頸椎の端が尖ったり(骨棘の形成)するなど、老化に伴う年齢相応の症状は素因減額の対象とならないのが裁判所の考え方です。また、(2)精神的な要因については、他覚所見がなく、通常人の場合であれば、影響が軽微にとどまっていると考えられるのに、相当な期間を超えて治療を必要とした場合には、裁判所は素因減額を認める傾向にあります。

いずれにしても、保険会社との間で素因による減額をめぐって行う示談交渉は高度に専門的なものとなりますので、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

葬儀費用[そうぎひよう]

交通事故によって被害者の方が亡くなった場合、葬儀費用も損害賠償の対象となります。この場合、単に葬儀を実施するための費用だけでなく、訪問客の接待やご遺体の処置、その後の四十九日や百箇日の法要や供養などを執り行うために必要となる費用、仏壇・仏具の購入費、墓碑建立費等を含めた葬儀関係費も賠償の対象とされます。

葬儀関係費について、自賠責保険の基準では、100万円の賠償が認められます(※)。裁判所基準(裁判をしたならば認められる基準)では、原則として150万円が上限となっています。現実の支出額が150万円を下回る場合には、実際の支出額の範囲内で賠償額が決められます。

  • ※自賠責保険の支払基準改正により、令和2年4月1日以降に発生した事故については、葬儀関係費は100万円に変更となりました。なお、令和2年3月31日以前に発生した事故については、従前のとおり、葬儀関係費は原則60万円、必要かつ相当な出費であれば上限100万円となります。

相続人[そうぞくにん]

死亡事故の場合、被害者自身は加害者に対して損害賠償請求をすることができないので、遺族などの相続人が被害者の方に代わって請求することになります。

相続人とは、被害者の権利や義務を包括的に承継する人のことをいいます。相続人には、遺言の指定による場合と、法律上認められる相続人があります。法律上認められる相続人およびその順位としては、まず配偶者(妻や夫)は常に相続人となります。次に、子どもがいれば「子」が相続人となります。子どもがいなければ「直系尊属」(両親や祖父母など)、子どもも直系尊属もいない場合には兄弟姉妹が相続人となります。

死亡事故の損害賠償請求を行う場合、相続人が複数いるときは、相続に関する問題が同時に起こる可能性があります。いずれにしても、死亡事故の場合、損害賠償額も高額であり、相続等の法律問題が生じるため、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

組織陥没[そしきかんぼつ]

組織陥没とは、くぼみのようなキズ痕(あと)のことをいいます。交通事故によって、顔などの外貌に人目につくほどの組織陥没が残ってしまった場合には、後遺障害として認定される余地があります。

顔面部に組織陥没が残ってしまった場合、それが10円硬貨大以上の大きさであれば、「外貌に著しい醜状を残すもの」にあたることになり、9級の等級認定がされる余地があります。

損害保険料率算出機構[そんがいほけんりょうりつさんしゅつきこう]

損害保険料率算出機構とは、自賠責保険の損害調査などを行う団体です。後遺障害の等級認定は、その内部組織である自賠責損害調査事務所が行うことになります。

相談者の方には、等級認定の結果が保険会社から送られてくるので「(対立する相手である)保険会社が(自ら)認定している」と誤解され、不安に思われる方が少なくないですが、認定自体を中立的な機関である損害保険料率算出機構で行う仕組みとなっており、保険を支払う側が認定しているわけではありません。

事前認定など保険会社を通じて後遺障害の等級認定の申請を行い、その認定結果も保険会社を通じて被害者の方に知らされるので、そのような誤解が生じるのかもしれません。なお、認定された結果に不満がある場合には、損害保険料率算出機構に対して異議申立を行うことができます。

損はさせない保証[そんはさせないほしょう]

当事務所へご依頼いただいたにもかかわらず、加害者側の保険会社から提示された示談金の増加額が報酬額を下回ってしまった場合は、その不足した分の弁護士費用をいただいておりません。このアディーレ法律事務所のオリジナルのサービスを「損はさせない保証」と呼んでおります。たとえば、
保険会社からの提示額:100万円

弁護士交渉後の提示額:125万円
といった場合、弁護士の交渉により25万円の増額となりますが、弁護士費用は22万円+回収額の11%+事務手数料1万1,000円=36万8,500円のため、計算上は費用倒れとなってしまいます。しかし、このような費用倒れとならないように、差額の11万8,500円はいただかず、差し引いた25万円が弁護士費用となります。
「弁護士に今後の手続をすべて任せたいんだけど…費用が心配」、「弁護士に依頼すると本当に示談金を増額できるの?」。このようなご不安を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、弁護士にご依頼したことにより、弁護士費用が費用倒れになってしまうことはございませんので、どうぞ安心してご依頼ください。

  • ※弁護士費用特約をご利用の場合は除きます。