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交通事故の過失割合は誰がどう決める?交渉を有利に進めるための基礎知識

[ 公開日:2025/03/31 ] [ 更新日:2025/03/31 ]

交通事故の被害にあい、「過失割合はいつ誰が決めるのか」、「適切な過失割合を得るにはどうすればよいのか」と考えている被害者の方は多いのではないでしょうか。
交通事故の過失割合は、事故の当事者同士の話合いで決まります。また、保険会社の担当者や弁護士が当事者の代理人となって交渉する場合もあります。

交通事故の被害者に過失割合が付いた場合、その分、受け取れる慰謝料・賠償金が減ってしまうため、過失割合についてきちんと交渉できることは重要なポイントです。

そこで、このコラムでは、過失割合は誰が決めるのか、いつ決まるのかを解説します。過失割合がなかなか決まらない場合にどうすればいいのかについてもご説明しますので、ぜひご一読ください。

この記事でわかること
  • 交通事故の過失割合は誰が決めるのか
  • 過失割合の交渉に備えて知っておくべきこと
  • 過失割合が決まらない場合の対処法
目次

交通事故の過失割合は誰が決める?

基本的には事故の当事者同士の話合いで決める

過失割合は、事故の当事者同士の話合いで決めます。ただ、加害者・被害者が話合いをしてもすんなり合意できることはほとんどないため、実際にはそれぞれの保険会社が代理人として交渉を行うことが多いです。

保険会社が一方的に通知してくることも多い

交通事故の示談交渉は、通常、加害者側の保険会社と行います。示談交渉を進めるうちに、保険会社が過失割合について一方的に通知してくることも多いです。
納得できない過失割合を保険会社から提示された場合、反論したいと思われる方もいるでしょう。

ただ、先方が提案した過失割合の妥当性について、被害者の方がご自身で調べ、保険会社と交渉を進めるのは困難なことといえます。
そのため、提示された過失割合に納得いかない場合は、弁護士などに相談するのが得策です。

【よくある誤解】警察が過失割合を決めてくれる?

警察は、事故の当事者から事情を聴いたり、事故当事者の立会いのもと実況見分を行ったりして実況見分調書を作成します。
また、事故当事者双方や目撃者などに事実関係を確認して供述調書も作成します。
このようなことから、事故当事者の方のなかには、「交通事故の過失割合は警察が決める」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、民事不介入の原則により、過失割合のように事故の当事者同士で話し合って解決する問題に警察は介入できないため、警察が過失割合を決めることはありません。

過失割合はいつ・どう決まる?

では、過失割合はいつどのように決まるのでしょうか?決まるタイミングと決め方についてご紹介します。

過失割合が決まるタイミング

最終的な過失割合は示談成立時や判決確定時に決まりますが、そのタイミングは事故の状況などによって異なるため、単純に「いつ」とは言えないのが実情です。

ただし、一般的に、示談の場合には開始から半年〜1年程度(示談が成立した時点)、訴訟の場合には開始から1〜2年ほど(判決が下された時点)かかることが多いです。

過失割合の決め方

過失割合は、下記のような流れで決めていきます。

  1. 当事者間で事故状況を擦り合わせて明確にする
  2. 事故の状況や過去の裁判例をもとに「基本の過失割合」を出す
  3. 具体的な行為態様などをもとに「修正要素」を検討し、修正する
  4. 話合いを繰り返し、当事者双方の合意のもとに最終的な過失割合を決める

過失割合を決める手順を詳しく知りたい方は、下記コラムも合わせてご覧ください。

過失割合の交渉に備えて知っておくべきこと

ここでは、適切な賠償金を受け取るために知っておくべきことを解説します。

過失割合次第で最終的に受け取れる賠償金額が変わる

過失割合は、最終的な損害賠償額を算出する際に使用されます。

たとえば、被害者にも過失があってその割合が20%であれば、被害者が受け取る賠償金額が減額され、全額に対して80%になってしまうのです(過失相殺)。
このように、被害者の方にどのくらいの過失割合があるかによって、受け取れる賠償金額が変わってくるため、過失割合について交渉することは非常に重要です。

過失割合の目安がある

有利に話合いを進めるには、ご自身があわれた事故の「基本の過失割合」を知っておくことが大切です。
過去の裁判例や、事故類型をもとにした過失割合が掲載されている『別冊判例タイムズ38』などを参考にすれば、事故の「基本の過失割合」を出すことができます。

ただし、まったく同じ事故状況における交通事故というものはないため、基本の過失割合や修正要素(次の項で解説)などを考え合わせて、決めていくことになります。

修正要素が考慮されることがある

「修正要素」は過失割合を修正する事故特有の事情のことです。修正要素がある場合には、基本の過失割合への加算もしくは減算が行われます。

具体例を挙げてご説明します。

危険を防止するためにやむを得ず急停車した車に、後続車が追突した場合の事故(下図)では、基本的に追突された車に過失はありません。

自動車Aが自動車Bに追突した場合の過失割合の図

事故の原因は、追突してきた車Aの前方不注意や車間距離不保持などの一方的な過失と考えられ、過失割合は「A対B=10対0」となる可能性が高いです。

ただし、危険防止以外の理由で車Bが急停車して起こった追突事故では、被害者側にも過失が生じることがあります。

たとえば、車Bが道を間違えた・信号を見間違えたといったような理由による急停車です。
この場合、被追突車側に30%程度の過失があるといわれており、基本の過失割合10対0に修正要素が加えられて、最終的な過失割合が変わることも考えられます。

過失割合が10対0だと自分で交渉しなければならない

被害者の方が加入されている保険の「示談交渉代行サービス」は、交通事故の被害者に過失がない場合には利用できません。過失割合が10対0の交通事故の場合、被害者の方ご自身で示談交渉をする必要があります。

そのため、治療中にもかかわらず加害者側の保険会社が治療費を打ち切ろうとしている、提示された賠償金額に納得がいかない、といった困りごとに対しても被害者側の保険会社は交渉を代行してくれません。

そのような場合には、弁護士に依頼して示談交渉を代理してもらうことがおすすめです。
被害者の方の負担が軽減されるうえ、弁護士の介入により慰謝料が増額する可能性があります。

過失割合が決まらない場合にはどうしたらいい?

なかなか過失割合が決まらず、示談できるのか不安な場合には、下記のような解決方法を試してみましょう。

  • ADRを利用する
    ADR(交通事故紛争処理センターなどの民間団体)に和解案を提示してもらい、当事者双方の合意を目指す方法です。
  • 調停をする
    調停は、裁判所に調停案を提示してもらって当事者双方の合意を目指す方法です。
  • 裁判(訴訟)をする
    裁判(訴訟)は、裁判手続のなかで過失割合を決定し、紛争を解決する方法です。交通事故の当事者双方が合意できれば和解が成立し、裁判が終了します。和解が成立しない場合は、裁判所が過失割合を決定し、判決が言い渡されます。

それぞれの手続の違いについては、下記コラムをご覧ください。

ただし、ADRや調停、裁判(訴訟)を利用しても、過失割合についての合意がうまくいかない場合もあります。
ADRや調停における仲介者(弁護士や調停委員)はあくまでも中立的な立場であり、被害者の方の立場で交渉してくれるわけではありません。

また、裁判(訴訟)では、法律に基づいた主張が必要なため、被害者ご自身で対応するのは難しいでしょう。
そのような場合には、弁護士に相談・依頼することをご検討ください。

過失割合の交渉を弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼することで、下記のようなサポートを受けることができます。

  1. 過失割合の妥当性を判断してもらえる
  2. 適切な過失割合を主張してもらえる
  3. 訴訟に発展しても弁護士に任せられる

①過失割合の妥当性を判断してもらえる

加害者側の保険会社が提示してくる過失割合が、被害者の方にとって妥当であるとは限りません。
交通事故に詳しい弁護士であれば、実況見分調書や過失相殺の認定基準、過去の裁判例などをもとに適切な過失割合を算定し、その結果から加害者側が提示する過失割合の妥当性を判断する、ということが可能です。

そのため、加害者側からの提案をうのみにせず、弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。

②適切な過失割合を主張してもらえる

被害者の方ご自身で、過去の判例や修正要素などを確認し、適切な過失割合を加害者側に主張するのは難しいでしょう。

弁護士であれば、被害者の方に有利となる証拠や過去の裁判例、追加すべき修正要素などの根拠を示しながら、加害者側の保険会社に適切な過失割合を主張します。
これにより、過失割合を修正できる可能性があります。

③訴訟に発展しても弁護士に任せられる

加害者側との示談交渉がうまく進まず、訴訟に発展することもあります。そのような場合でも、弁護士であれば、法的知識を活かして対応することができるため、有利な結果を得られる可能性が高まります。

まとめ

過失割合は、交通事故の当事者である加害者と被害者の話合いで決めます。ただ、実際には保険会社が代理として交渉を進めることも多く、交渉に慣れている相手と話合いを進めるのは負担が大きいでしょう。

また、過失割合は10%変わるだけでも、賠償金額に大きく影響することもあるため、慎重な判断が必要です。
弁護士であれば、適切な過失割合を算定し、加害者側の保険会社に主張・反論していきます。

ぜひ、交通事故に詳しい弁護士に相談し、適切な過失割合や賠償金を得られるよう、アドバイスを受けることをご検討ください。

交通事故の被害はアディーレにご相談ください

交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。
弁護士費用特約を利用する方の場合は、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われます。
また、通常は弁護士費用が保険会社の上限額を超えた部分は自己負担となりますが、アディーレにご依頼いただく場合は、保険会社の上限を超えた分の弁護士費用は請求いたしません。
そのため、お手元からのお支払いはないため、安心してご依頼いただけます。

  • 弁護士費用特約の利用を希望する場合は、必ず事前に加入の保険会社にその旨ご連絡ください(弁護士費用特約には利用条件があります)。

弁護士費用特約が付いていない方でも、アディーレ独自の「損はさせない保証」により、保険会社提示額からの増加額より弁護士費用が高い場合は不足分の弁護士費用はいただかないことをお約束します。(※)

また、アディーレへのお支払いは獲得した賠償金からお支払いいただく「成功報酬制」です。(※)
お手元からのお支払いはないため、弁護士費用特約が付いていない方でも安心してご依頼いただけます。

  • 委任契約の中途に自己都合にてご依頼を取りやめる場合、成果がない場合にも解除までの費用として、事案の進行状況に応じた弁護士費用等をお支払いいただきます。
この記事の監修者
南澤 毅吾

アディーレ法律事務所

弁護士 南澤 毅吾(みなみさわ きご)
資格:弁護士、英検1級、簿記2級
所属:第一東京弁護士会
出身大学:東京大学法学部

弁護士は、大学入試・司法試験など型にはまった試験を課せられてきており、保守的な考え方に陥りやすい職業だと私は考えます。依頼者の皆さまの中にも、「弁護士=真面目」、言い換えれば頭が固い、融通が利かないというイメージをお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか。私はそのようなイメージをぜひ打ち破りたいと思っています。「幅広い視野、冒険心・挑戦心、そして遊び心を持った弁護士でありたい」、「仕事に真摯に取り組むのは当たり前だが、それ以上の付加価値を皆さまにご提供したい」。それが私のモットーです。