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交通事故の被害者が知っておきたい、追突事故における過失割合について

[ 公開日:2022/01/26 ] [ 更新日:2024/09/09 ]
自動車事故

交通事故による被害者となってしまった場合、被害者であるにもかかわらず、加害者側の保険会社から過失相殺を主張されることがあります。
「過失」は、賠償金額に影響を与える重要な要素ですが、抽象的な概念であり、その割には内容が複雑です。ですから、日常生活では馴染みが薄いものかもしれません。

そこで、今回は追突事故に関する過失割合について、ご説明いたします。

この記事でわかること
  • 交通事故における過失の考え方
  • 追突事故における過失割合の傾向
  • 過失割合の交渉をするうえで知っておくべきこと
目次

追突事故は被害者に過失なし?

過失割合は、裁判によらない示談交渉の場では、当事者双方の話合いによって決まります。その際、過去の裁判例や、事故類型をもとにした過失割合を定めた『別冊判例タイムズ38』などの書籍を参考に決定していくのが一般的です。

では、追突事故の場合、被害者側に過失があるのでしょうか。

交通事故における過失とは

交通事故における過失とは、交通事故の原因となった不注意のことです。
例としては、赤信号無視による交通事故の場合に、事故を予測して「赤信号で停止する」という注意をすべきだったのにしなかった、といったことが挙げられます。

事故当事者の過失の割合を数値化したものは「過失割合」と呼ばれ、「2対8」や「30対70」などと表現されます。

なお、被害者にも損害の発生や拡大について過失が認められる場合に、これを斟酌して加害者の支払うべき損害賠償の額を減らすことを「過失相殺」といいます。

追突事故の過失割合は

追突事故の場合、基本的には被追突車に過失がなく、追突車の前方不注意(道路交通法第70条)や車間距離不保持(道路交通法第26条)等の一方的過失によるものと考えられます。

そのため、赤信号や一時停止標識に従って停止していた場合や、渋滞のため停止していた場合に追突された際の過失相殺率は0%となります。

追突事故で被害者に過失がつくケースとは?

もっとも、追突事故の場合であっても、被追突車に過失が生じる場合があります。
自動車の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、またはその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない(道路交通法第24条)とされています。

そこで、やむを得ない事情がない状況で急ブレーキをかけたことによって追突事故が発生した場合、被追突車にも過失が生じることがあります。

この場合、被追突車側に30%程度の過失があるといわれています。

過失割合で争いになったら

被害者にも過失がある場合、過失相殺を主張することで、加害者側の保険会社は支払う保険金を減額することができます。

そのため、加害者側の保険会社は、少しでも賠償金を減らすため、被害者側の過失を主張することがあります。

では、過失割合で争いになってしまった場合、どのような手段をとるべきかについてご説明します。

ドライブレコーダーを提出する

過失における争いは、その多くが、事故状況に対する認識の相違から生じます。

そこで、事故状況を客観的に明らかにすべく、ドライブレコーダーの映像を提出することが有効です。

たとえば、「被害者の急ブレーキによって事故が発生した」と主張された場合、ドライブレコーダーの映像によって、被害者による急ブレーキの有無を客観的に証明できるでしょう。

刑事記録を謄写する

ドライブレコーダーが普及しているとはいえ、いまだドライブレコーダーを装備していない方もいらっしゃると思います。

その場合、刑事記録によって事故状況を明らかにすることができます。
ちなみに、刑事記録とは加害者に対する刑事裁判のために作られるものです。

刑事記録のなかでも、事故状況を客観的に証明するための実況見分調書」によって事故状況を明らかにすることができます。

刑事記録は、検察庁で被害者の方による閲覧謄写申請が可能です。
もっとも、刑事裁判が進行中である場合、謄写が認められない場合がありますので、検察庁へ事前に確認しておく必要があります。
また、物件事故の場合は想定していたような詳細な情報を得られない可能性があります。

目撃者証言を収集する

目撃者がいる場合には、その目撃証言も事故状況を証明するために有効です。

刑事記録のなかには、当事者や第三者などの捜査機関に対する供述内容が書かれた「供述調書」があります。この供述調書によって、目撃証言を証明することができます。

弁護士へ相談する

加害者側の保険会社から過失相殺を主張された場合、弁護士に相談することも有効です。

過失割合が適正であるかを精査することができるとともに、提示された示談金額が妥当なのか、交通事故の被害に精通した者の目線から確認することができるからです。

また、刑事記録の取得は、何度か検察庁へ足を運ぶ必要があり、被害者の方がご自身で取得しようとすると大変な手間がかかりますが、このような煩わしい手続を弁護士が代行してくれます。

さらに、ドライブレコーダーや刑事記録を提出したとしても、加害者側の保険会社が被害者の主張を認めてくれるかどうかは交渉次第ですが、この交渉も弁護士に任せることができます。過失割合だけではなく、慰謝料の増額など派生的な効果も期待できるのです。

まとめ

このように追突事故の場合でも、過失割合で争いが生じることがあります。この場合、被害者ご自身が示談交渉を行うことは大変な労力がかかり、日常生活に支障をきたすおそれがあります。

弁護士に依頼することで、このようなお悩みを解消できると同時に、賠償金を増額できる可能性があります。
そのため、追突事故であっても、少しでも不安や煩わしさを感じた場合には、弁護士に相談されることをおすすめいたします。

この記事の監修者
村松 優子
弁護士 村松 優子(むらまつ ゆうこ)
資格:弁護士
所属:愛知県弁護士会
出身大学:愛知大学法学部

私は,司法試験を目指した当初から,親しみやすい法律家になりたいと考えていました。それは,私自身が弁護士に対して,なんとなく敷居が高そうというイメージを抱いていたからです。私は,司法試験に合格した後,学生時代の友人から,合格しても何にも変わらないね,安心したと言われました。弁護士になった後も,昔と変わらないねと言われ続けたいです。私は,ただすこし法律を勉強しただけで,そのほかは普通の人と何ら変わりはありません。なので,どんなことでも気軽に相談してください。